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竜を継ぐ者(27)女の子から貰った人生はじめての告白は、酷く苦い味がした②



 でも、ショックだったのだ。
 そんな風に見えるのかなとか、見られてたのかなとか……色々と考えてしまう。

「怒るよ?バカだな……そんな事ないよ。大崎さんは凄く魅力的な女の子だと、僕は思うよ」
「――ホントに?滝川くんの目に、私はそう映ってるの?」

 余程意外だったのか、美奈の顔には色々な感情が浮かんでいた。驚き、喜び、戸惑い――浮かべた涙がどの感情を司っているのか、理解が及ばない程に、コロコロと変化する不思議な表情。
 どこまでこの子は自分に自信が無いのだろうか。
 自分に確固たる自信を持てる人などそうはいないが、美奈は自分の魅力を知らな過ぎると思う。夜空のように綺麗な漆黒の双眸は、誰にでもあるような魅力じゃないのに。

「映ってるよ……大崎さんは、可愛いよ。電車で肩を貸してた時から、僕は君への興奮を抑えるのに必死だったよ。僕が君に対してエッチな気持ちになったのは、欲求不満だとかそういうものじゃない。君の魅力の所為だよ」

 言ってしまってから、真吾は酷く恥ずかしくなった。
 顔が何だか熱い――。
 何を小っ恥ずかしい事を平然と言ってるんだ。バカは僕だ……真吾は心の中で、酷く悶えた。

「僕は……君の目に、そういう事をできる男だと思われてる方が、余程ショックなんだけど……」

 と言うと、腕の中の美奈が焦ったのかビクリとした。

「あ――ご、ごめんなさい!そういうつもりじゃ……違うの……!」

 それならどういうつもりだと問い質したい所だが、必死に謝る美奈が何だか可愛いくて、怒る気も失せてしまう。
 愛の代わりに襲われたと思い込んだ話を聞けば、そこまでしなくても予想はついた。
 レイプの理由が堕児だと信じ切れない美奈は、若さ故の――要するに、結城愛を抱けない|欲求不満《フラストレーション》が、たまたま送っていた美奈に向いたのだと、思い込むしか無かったのだろう。
 本気で拒絶しない理由も、キスにだけは応えてくれる理由も……それだけで全ての謎が胸に落ちた――僕が好きだから……。

「僕さ……女の子に告白されたのって実は、はじめてなんだよね」
「え、本当に?何か意外……」
「意外でもないよ――って言うと少し情けないけど。本当にそういうの、ないんだ。だから、凄く嬉しかった……」

 惹かれた相手に思われていた――それだけでも、夢のように奇跡だ。
 まるで青春の1ページのような奇跡を、自分から手離さなければならない。彩夏に話した時から、真吾は心に決めた事があった。

「けど、ごめん……思いに応えてあげられない……」

 乾きかけてた目が途端に潤むと、美奈は涕泣した。
 咄嗟に肩を抱こうとした手を、真吾はそっと引っ込めた。
 真吾が心に決めた事――それは、堕児騒ぎが収まるまで誰とも付き合わない事だった。誰でも抱くような状況で、彼女を作れば相手を傷つけてしまうかもしれない。
 真吾は美奈の膣《なか》から堕児の死体を回収すると、美奈に堕児を差し出した。グロテスクな生物だった物体を、美奈は泣くのも忘れて茫然と凝視する。

「僕が、君の思いに応えてあげられない理由……」
「これが……付き合えない理由なの……?」
「そうだよ、コレが理由だ……」
「それが理由だって言われても……わからないよ!」
「僕は堕児を殺せる唯一の能力者だって、さっきも言ったよね。コレを殺しまわっている限り、彼女なんて作れない……他の女性を抱く男と、大崎さんだって付き合いたくないだろ?」

 美奈はその言葉に俯くと、手元をジッと見つめた。
 次第に溢れた涙が頬を伝うと、認めるのが嫌だとでも言うように首を横に振る。心の底では美奈も理解していると心づき、その思いに真吾は苦しくなった。
 それでも受け容れ切れないのは、手の届く距離に来た自分を離したくない故の思いなのか――なまじ抱かれてしまってるから余計なのかもしれない。
 心の痛みが美奈への同情によるものなのか、それとも美奈を諦めた事への未練なのか、真吾自信にもそれは、わからなかった。

「これを大崎さんに教えるのは、酷だと思う……」

 美奈の双眸が戸惑いに震え、不安だらけの瞳が自分を見つめた。
 本当は、こんな事は言いたくない。
 でも……こうでも言わないと、美奈が未練を断ち切れそうにないなら、仕方がない。美奈が自分の言葉を理解しながらも、受け容れ切れてない事を、真吾は気づいていた。

「正直……話すのは躊躇するよ。でも――こう言わなければ諦めがつかないなら教えてあげる。僕は君の前に二人、既に堕児を殺す為に女の子を抱いてる。一人は妹だったよ……」

 それを聞かされた美奈の顔が強張り、涙がすぐに溢れて次から次へと落ちていく。相当なショックを受けている事が、見目からも痛いほど伝わってくる。
 切り裂くような痛みを心に感じながら、真吾は続けた。

「わかっただろ、これで……堕児の為に、誰でも抱くのがどういう意味か。そんな状態で、大崎さんの気持ちに応えられないんだ、わかってよ……?僕しか、堕児憑きの女性は助けられないから……それをわかっているのに、安穏とはできないよ……」

 嘆きを吐くような独白を、美奈は悲痛な顔で聞いていた。
 きっと彼女を随分と傷つけてしまった……それがとても苦痛だった。だが、自分自身も深く傷ついた事を、真吾は気づけなかった。
 美奈は俯いたまま、一度だけ無言で頷いた。
 理解を……してくれたのだと、無理矢理にでも真吾は思いこんだ。恋愛に慣れていれば、もっと上手く諦めさせられたのだろう。しかし嘘の苦手な真吾は、これが精一杯だった。
 その時、唐突に二人の間を夜風がサーッと過ぎて行った。
 美奈の羽織るワイシャツの裾が、風にふわりと棚引いた。11月の冷たい外気に晒される白い素肌が、嫌に寂しげに目に映る。
 風を受けた美奈が、寒そうにワイシャツを掻き寄せた。
 思わず美奈の肩に手を掛けると、真吾はそっと胸に抱き寄せた。
 びっくりしたのか、美奈は涙が止まったようだった。

「あ――いや、ごめん。寒そうだなって、つい……」

 咄嗟に、まるで言い訳のように口をついた言葉は、そんな言葉だった。どうして抱いてしまったのか、真吾は自分でもわからなかった。

「ごめん……服を着させてあげれば良かったのか。バカだな、僕は……」

 誤魔化すようにテレ笑いを浮かべながら、制服を取る為に身体を剥がした。

「い……いい!こ、このままが……いい……」

 そう言うと美奈は、離れようとする身体にしがみついた。
 美奈は甘えるように胸にしな垂れかかり、図らずも抱き合うような状態となる。
 ドキドキと鼓動が、早鐘のようで煩かった。

小説家になろう・ノクターンノベルズでも連載中です◇










◆◇ 関連リンク ◇◆

竜を継ぐ者~黄の刻印の章(世界はエッチと愛で救われる)第一話へ
ヒミツのカンケイ第一話へ
『 M 』第一話へ
お兄ちゃんと私 第一話へ









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2018/08/07 00:00 | 小説概要と目次COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

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